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飛行機で耳が痛くなるのはなぜ?機内の気圧の仕組みと、着陸前に試せる耳抜きの方法

飛行機が着陸に向けて高度を下げ始めると、耳がツーンと詰まったり、痛くなったりすることがあります。せっかくの旅行がつらい時間にならないよう、なぜ耳が痛くなるのか、どうすれば和らげられるのかを、航空機の基準と医学のマニュアルをもとに整理します。「飛行機の仕組み」を解説する動画が世界で2,000万回近く再生されるなど(2026年10月時点)、機内で起きることへの関心は高いテーマです。
この記事のポイント
- 旅客機の客室は与圧されているが、地上と同じ気圧ではない。米国の基準では、通常時の客室の気圧は高度8,000フィート(約2,400m)相当以下と定められている
- 耳の痛みは、外の気圧の変化に中耳(鼓膜の奥)の気圧が追いつかないことで起こる。上昇中より、着陸に向けた降下中に起きやすい
- つばを飲み込む、あくびをする、ガムをかむ、鼻をつまんでゆっくり息を送るといった方法で、気圧の差を小さくできる
- かぜや鼻炎で鼻が詰まっていると起こりやすい。強い痛み、聞こえにくさ、めまいが続く場合は耳鼻咽喉科へ
機内の気圧は「山の上」くらい
飛行機は高度1万メートル前後を飛ぶことがありますが、その高さの空気はとても薄く、そのままでは人は過ごせません。そのため客室には空気を送り込んで気圧を高める「与圧」が行われています。
ただし、地上と同じ気圧に保っているわけではありません。アメリカの連邦規則(輸送機の型式証明に関する基準)では、与圧された客室は、通常の運航状態で「客室の気圧高度が8,000フィートを超えないこと」を求めています。8,000フィートは約2,400mです。つまり機内は、標高2,000mを超える山の上に近い気圧になることがあるということです。
離陸後に高度が上がると客室の気圧は下がり、着陸に向けて高度が下がると、客室の気圧は地上の値に向かって上がっていきます。この変化が、耳の不調のきっかけになります。
耳が痛くなる仕組み
鼓膜の奥には「中耳」という空気の入った小さな部屋があり、のどの奥とは「耳管」という細い管でつながっています。ふだんは、つばを飲み込んだりあくびをしたりすると耳管が開き、中耳と外の気圧が同じになるように調整されています。
MSDマニュアル(医療従事者向け)では、この症状を「耳の圧外傷」として説明しています。かぜやアレルギーなどで耳管の働きが妨げられた状態で周囲の気圧が変わると、中耳の気圧が外より低くなったり高くなったりします。症状は、飛行機の降下中のように、外の気圧が急に変わるときに悪化するとされています。
鼓膜は内外の気圧に差があると引っ張られ、耳が詰まった感じや痛み、聞こえにくさを感じます。とくに降下中は外の気圧が上がるため、耳管を開いて中耳に空気を入れる必要があり、うまくいかないと痛みが強くなります。
着陸前に試せる対処法
MSDマニュアルには、耳の圧外傷を和らげる方法として、次のようなものが挙げられています。
- ガムをかむ
- あくびをする
- つばや飲み物を飲み込む
- 口を閉じて鼻をつまみ、ゆっくり鼻に息を送る(いわゆる「耳抜き」)
- スプレー式の鼻づまりの薬を使う
耳抜きをするときは、強く息を送りすぎないことが大切です。少しずつ試し、痛みが強くなるようならやめましょう。また、降下が始まる前、目が覚めているうちから飲み込みやあくびをこまめに行うと、気圧の差が大きくなる前に調整しやすくなります。降下中に眠っていると飲み込む回数が減るため、着陸のアナウンスが流れたら意識して動かすのがおすすめです。
鼻づまりの薬を使う場合は、使い方や持病との関係を、事前に医師や薬剤師に相談してください。
かぜのときの飛行機は要注意
MSDマニュアルは、かぜなどの上気道感染やアレルギーで鼻が詰まっている人は、飛行機での移動や潜水を避けるべきだとしています。どうしても乗らなければならない場合は、出発前に耳鼻咽喉科で相談しておくと安心です。
小さな子どもは、自分で耳抜きをするのが難しいことがあります。子どもと飛行機に乗る予定があり、耳のトラブルが心配な場合は、事前にかかりつけの医師に相談しておきましょう。
こんなときは受診を
次のような場合は、着陸後に耳鼻咽喉科を受診してください。
- 強い痛みが続く、または痛みが何日も引かない
- 聞こえにくさや耳鳴りが続く
- めまいがある
- 耳から液体が出てくる
とくに、聞こえにくさとめまいが一緒に起きている場合は、専門的な検査が必要になることがあります。
まとめ
飛行機の客室は、地上より低い「山の上」くらいの気圧になることがあり、とくに着陸前の降下中に耳が痛くなりやすくなります。飲み込む、あくびをする、ガムをかむ、ゆっくり耳抜きをするといった方法を、降下が始まる前から試すのがポイントです。かぜで鼻が詰まっているときは無理をせず、症状が続くときは早めに耳鼻咽喉科で相談しましょう。