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鳥取砂丘は「砂漠」ではない:年間降水量1,931ミリの砂の丘ができた理由と、砂漠との本当の違い

一面の砂が広がる鳥取砂丘は、よく「日本の砂漠」と呼ばれますが、地理の定義では砂漠ではありません。鳥取の年間降水量は平年1,931.3ミリで、砂漠の目安とされる「年250ミリ未満」の7倍以上の雨が降るからです。砂漠の環境を水槽の中に再現し、100日間の変化を記録した動画は1億1,168万回以上再生されています(YouTube、2026年10月9日確認)。乾いた世界への関心は世界共通ですが、日本にある「砂の世界」はまったく別の仕組みで生まれています。
この記事のポイント
- 砂漠を決めるのは砂ではなく「雨の少なさ」。年間降水量250ミリ未満の乾いた土地が砂漠とされる
- 鳥取市の年間降水量の平年値は1,931.3ミリ。砂漠の基準を大きく上回る
- 鳥取砂丘は、千代川が山から運んだ花崗岩の砂が、波や風で積み上げられてできた「海岸砂丘」
- 雨が多いため植物が育ちやすく、砂丘らしい景色を保つには人の手入れも欠かせない
砂漠を決めるのは「砂」ではなく「雨」
アメリカ地質調査所(USGS)の解説によると、広く使われている分類では、年間降水量が250ミリ未満の土地を「乾燥地」、12か月以上続けて雨の降らない時期がある土地を「極乾燥地」とし、この2つを砂漠と呼びます。降水量250〜500ミリの土地は「半乾燥地」で、草原になることが多いとされます。
つまり砂漠とは、砂があるかどうかではなく、水が極端に少ない土地のことです。反対に、砂がたくさんあっても雨が多ければ砂漠ではありません。
鳥取の雨は砂漠の7倍以上
気象庁の平年値(1991〜2020年の平均)によると、鳥取の年間降水量は1,931.3ミリ、年平均気温は15.2℃です。
| 比べるもの | 年間降水量 |
|---|---|
| 砂漠(乾燥地)の目安 | 250ミリ未満 |
| 半乾燥地(草原が多い) | 250〜500ミリ |
| 鳥取(平年値) | 1,931.3ミリ |
気象庁の月ごとの平年値を見ても、鳥取では一年を通して雨や雪が降ります。砂漠の目安の7倍を超える雨が降る土地に、なぜ砂の丘が広がっているのでしょうか。
砂は「川」と「海」と「風」が運んだ
観光庁の多言語解説文(鳥取砂丘ビジターセンター)によると、鳥取の砂丘は、千代川の源となる中国山地から大量の花崗岩質の砂利が海まで運ばれ、何万年もかけてできたものです。
- 川が山から削った砂や砂利を海まで運ぶ
- 海にたどり着いた砂利は砂州になり、波や沿岸の海流が細かい粒を陸地へ押し戻す
- 風が砂を内陸へ運び、丘や風紋をつくる
- 火山の噴火による灰や軽石も積み重なった
海の浸食で砂丘が後退した時期や、反対に広がった時期、動きが落ち着いた時期もありました。地層の中には黒い土の層があり、植物が茂っていた時代があったこともわかっています。今日の鳥取砂丘は、ユネスコ世界ジオパークに認定された山陰海岸ジオパークを代表する景観の一つです。
雨が多いからこそ起きること
砂漠では雨が少ないため、植物はなかなか育ちません。一方、雨の多い鳥取砂丘では、放っておくと草が生えて砂の地面が覆われていきます。鳥取県の資料によると、1991年(平成3年)に試験的な除草が始まり、地元の民間団体と鳥取市、鳥取県でつくる「鳥取砂丘再生会議」が、ボランティアを募って除草を続けています。国の天然記念物に指定された昭和30年代のような砂丘の姿を目標にした取り組みです。「砂漠のように見える砂丘」は、自然の力と人の手入れの両方で保たれている景色なのです。
江戸時代には、風よけとして松が植えられたことも記録に残っています。砂を飛ばさないための植林と、砂丘の景色を残すための除草。時代によって、人と砂丘の関わり方も変わってきました。
砂丘を歩くときのヒント
- 砂の照り返しで夏は地表がとても熱くなる。帽子と飲み物を用意し、日中の暑い時間を避ける
- 起伏があり、斜面を登るのは想像以上に体力を使う。歩きやすい靴で、無理のない範囲で
- 風が強い日は砂が舞う。カメラやスマートフォンは袋などに入れて守る
まとめ
鳥取砂丘は砂漠ではありません。砂漠を決めるのは砂の量ではなく雨の少なさで、鳥取には砂漠の目安の7倍以上の雨が降ります。山から川が運んだ砂を、波と風が何万年もかけて積み上げたのが鳥取砂丘です。雨が多いからこそ緑に覆われやすく、その景色は今も人の手で守られています。砂漠の生き物の映像に夢中になったら、日本の「砂の世界」がまったく違う成り立ちを持つことも思い出してみてください。