ホーム / 雑学・ガイド / 冥王星はなぜ「惑星」でなくなったのか:2006年に決まった惑星の3つの条件と、満
冥王星はなぜ「惑星」でなくなったのか:2006年に決まった惑星の3つの条件と、満たせなかった1つ

1930年に見つかり、76年間「太陽系の第9惑星」とされてきた冥王星は、2006年に国際天文学連合(IAU)が決めた惑星の定義によって「準惑星(dwarf planet)」に分類されました。惑星であるための3つの条件のうち、1つを満たしていなかったからです。太陽系をわかりやすく紹介したフランスの子ども向け科学番組の回は1,328万回以上再生されています(YouTube、2026年10月9日確認)。「水金地火木土天海冥」と覚えた世代も多い冥王星の分類がなぜ変わったのかを、国立天文台とNASAの解説から見ていきます。
この記事のポイント
- 2006年8月、チェコのプラハで開かれたIAUの総会で「惑星の定義」が採択された
- 惑星の条件は「太陽の周りを回る」「ほぼ球形になるほど重い」「軌道の近くから他の天体を排除している」の3つ
- 冥王星は3つめの条件を満たさず、準惑星になった。周りには似たような天体が多く存在している
- 冥王星の直径は約2,377キロで、地球の約5分の1。2015年にNASAの探査機ニューホライズンズが初めて近くを通過した
惑星の定義:3つの条件
国立天文台の解説によると、2006年8月14日から25日までチェコのプラハで開かれたIAUの総会で、「惑星の定義」が採択されました。太陽系の惑星とは、次の3つをすべて満たす天体です。
- 太陽の周りを回っている
- 十分に大きな質量を持ち、自分の重力によってほぼ球形になっている
- 自分の軌道の周囲から、他の天体をきれいになくしてしまっている
最初の2つを満たし、3つめを満たしていない天体で、衛星ではないものが「dwarf planet(準惑星)」です。どれにも当てはまらない、衛星以外の天体は「太陽系小天体」と呼ばれ、小惑星や彗星などが含まれます。IAUの決議には、「冥王星は上記の定義によってdwarf planetであり、海王星より外側を回る天体の新しい種族の典型例と認める」と書かれています。
| 条件 | 地球などの惑星 | 冥王星 |
|---|---|---|
| 太陽の周りを回る | ○ | ○ |
| 自分の重力でほぼ球形 | ○ | ○ |
| 軌道の周りから他の天体を排除 | ○ | × |
冥王星が満たせなかった条件
NASAの解説によると、冥王星は太陽系の遠くにある「カイパーベルト」という領域にあります。その奥で冥王星に似た天体が次々と見つかったことで、冥王星は2006年に準惑星へと分類し直されました。冥王星の軌道の周りには、同じような大きさや性質を持つ天体がたくさん回っていて、「軌道の周りを自分だけのものにしている」とはいえなかったのです。
冥王星だけを特別扱いして惑星に残すと、似たような天体が見つかるたびに惑星の数が増えていくことになります。定義を決めたことで、惑星の仲間と、それより小さな天体の仲間が、はっきり分けられました。
冥王星はどんな天体か
NASAの解説から、冥王星の基本的なデータをまとめると次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発見 | 1930年 |
| 直径(赤道) | 約2,377キロ(地球の約5分の1) |
| 太陽からの平均距離 | 約59億キロ(地球と太陽の距離の約39倍) |
| 太陽を回る周期 | 約248年 |
| 衛星 | 5つ。最大のカロンは冥王星の約半分の大きさ |
冥王星の名前は、1930年に英国オックスフォードの11歳の少女ベネチア・バーニーさんが、ローマ神話の冥界の神にちなんで提案したものが採用されました。2015年7月14日には、NASAの探査機ニューホライズンズが冥王星の近くを通過し、山や谷、平原、クレーター、氷河のある複雑な表面を明らかにしました。冥王星を間近で調べた探査機は、ニューホライズンズだけです。
日本語の呼び方の移り変わり
国立天文台によると、dwarf planetの日本語名について、日本学術会議の小委員会は2007年4月に「準惑星」という表記を推奨しました。また、冥王星のように海王星より外側にある準惑星のグループには、2007年4月に日本学術会議が「冥王星型天体」という日本語名を決め、2008年6月にはIAUが英語名を「plutoid」と決めています。
天文のニュースを読むときのヒント
- 「惑星」「準惑星」「小惑星」は別の分類。言葉が似ていても意味が違う
- 分類が変わっても、天体そのものが変わったわけではない。冥王星は今も太陽系の大切な研究対象
- 最新の数値や画像は、国立天文台やNASAなどの公式サイトで確認できる
まとめ
冥王星が惑星でなくなったのは、2006年に決まった惑星の3つの条件のうち、「軌道の周りから他の天体を排除している」を満たさなかったからです。カイパーベルトで似た天体が次々に見つかり、冥王星はその代表である準惑星になりました。太陽系の映像を見て宇宙に興味を持ったら、2015年に初めて近くから撮られた冥王星の「ハート」の画像も探してみてください。