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流氷はどこから来るのか:北海道に届く氷の正体と、気象庁データで見る「10年で3.7%」の縮小

雑学・ガイド雑学・豆知識公開日 2026/10/09 21:50読了目安 約4分閲覧: 0
曇り空の下、沖まで続く流氷と遠くの防波堤(イメージ)
イメージ画像(AI生成)

冬の北海道オホーツク海沿岸を埋めつくす流氷は、北海道の海で凍ったものではなく、はるか北のロシア沿岸で生まれ、風と海流に乗って南へ運ばれてきた氷です。気象庁の診断では、オホーツク海で冬に最も広がったときの氷の面積は、長期的に10年あたり海全体の3.7%に相当する分ずつ減っています。北極や南極の凍った世界を映したドキュメンタリーのエピソードは4,660万回以上再生されています(YouTube、2026年10月9日確認)。実は日本にも「凍る海」があり、その姿が変わりつつあります。

この記事のポイント

  • オホーツク海はロシアのアムール川から真水が流れ込むため塩分が薄まり、海水が凍りやすい
  • 北部で生まれた海氷が南下し、北海道沿岸に届いたものが「流氷」
  • 網走の平年の流氷初日は1月22日、流氷接岸初日は2月4日(1991〜2020年の平均)。目視での観測は2025/2026年の冬から終了した
  • 冬の最大海氷域面積は10年あたり5.9万平方キロメートル(海全体の3.7%)のペースで減っている

なぜ北海道の海に氷が来るのか

海の氷は、ふつう北極や南極の周りでしか見られません。北海道オホーツク海沿岸のように緯度の低い場所で毎年海氷が見られるのは、世界的にも珍しいことです。

国土交通省の観光庁が作成した多言語解説文によると、オホーツク海で毎年流氷ができるのは、ロシアのアムール川から流れ込む真水が海水の塩分を下げ、凍りやすくするためです。オホーツク海はまずアムール川の河口周辺から凍り始め、その氷が割れて流氷となり、南へ流れてきます。

南下を後押しするのは風です。気象庁の2025/2026年の海氷のまとめでも、北風や北西風が吹く日の多さが、北海道沿岸に氷が届く時期を左右したと説明されています。

「流氷初日」と「接岸初日」

網走地方気象台は、毎年流氷の到来を観測して発表しています。用語の意味は次のとおりです。

用語意味網走の平年値
流氷初日視界の外から漂ってきた流氷が、視界内の海面で初めて見られた日1月22日
流氷接岸初日流氷が岸に着くか、岸の氷とつながって沿岸の水路がなくなり、船が航行できなくなった最初の日2月4日

平年値は1991〜2020年の30年間の平均です。2023年は網走の流氷初日が2月2日で、平年より11日遅くなりました。2024/2025年のシーズンは2月15日で、1946年の統計開始以来、最も遅い流氷初日となりました。

なお気象庁は2025年12月、この2つの目視観測を2025年度の冬のシーズンから終了すると発表しました。衛星などによる観測技術が進み、流氷の広がりを面的に、手軽に確認できるようになったためです。長く冬の便りとして親しまれてきた「流氷初日」の発表は、網走の記録としては2024/2025年のシーズンが最後になります。

気象庁データで見る「縮小」

気象庁は、オホーツク海の氷が最も広がった半旬(5日ごと)の面積を「最大海氷域面積」として記録し、長期的な変化を診断しています。2026年の診断では次のようにまとめられています。

  • 最大海氷域面積は長期的に減少している
  • 減少量は10年あたり5.9万平方キロメートル(95%の信頼区間で3.4〜8.4万)
  • これはオホーツク海の全面積の3.7%に相当する

10年ごとに、それだけの広さの海氷域が失われている計算になります。

2025/2026年のシーズンは、オホーツク海全体が寒気の影響を受けにくく、北部を中心に氷が広がりませんでした。最大海氷域面積は2月15日の75.84万平方キロメートルで、1970/1971年の統計開始以来2番目に小さい値でした。

ただし気象庁は、海氷の面積は地域の気温や風、海水温の影響を強く受けるため、年ごとの変動が大きいことも説明しています。「今年少なかった」ことだけで傾向を判断するのではなく、50年以上の記録で見ることが大切です。

流氷を見に行くときに知っておきたいこと

  • 流氷が沿岸に来るかどうか、いつ離れるかは風しだいで、数日で大きく変わる。出かける前に気象庁や地元気象台の海氷情報を確認する
  • 流氷の上は割れたり流されたりする危険がある。ガイド付きのツアー以外で氷の上に乗らない
  • 観光船や海岸からの観察は、防寒具を重ねて。海からの風で体感温度はさらに下がる

まとめ

北海道の流氷は、アムール川の真水で凍りやすくなったオホーツク海の北部で生まれ、風に運ばれてやってくる氷です。網走では平年1月下旬に姿を見せますが、気象庁の長期データでは、冬に広がる氷の面積は10年あたり海全体の3.7%ずつ縮んでいます。遠い極地の映像に心を動かされたら、日本の「凍る海」の変化にも目を向けてみてください。

参考資料

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