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猫は自分の名前を分かっている?日本の研究でわかった「名前の聞き分け」と、同居猫や家族の名前まで覚える力

名前を呼んでも知らんぷりなのに、ごはんの音にはすぐ反応する。猫と暮らしている人なら、「この子、本当に自分の名前をわかっているのかな」と思ったことがあるかもしれません。動画サイトでは、猫が人に話しかけるような動画が700万回以上再生されるなど(2026年10月時点)、猫と人のコミュニケーションは世界中で人気のテーマです。実はこの疑問に、日本の研究チームが実験で答えを出しています。2つの論文の内容を、わかりやすく紹介します。
この記事のポイント
- 2019年、上智大学や東京大学などの研究チームが、猫は自分の名前をほかの言葉と聞き分けていることを実験で示した
- 家族以外の人が名前を呼んでも、聞き分けができていた
- 2022年には、京都大学などの研究チームが、猫は一緒に暮らす猫の名前と顔を結びつけて覚えているらしいことを報告した
- 人の家族の名前についても、家族の人数が多く、一緒に暮らした期間が長い猫ほど、名前と顔の結びつきを示す反応が強かった
研究1:猫は自分の名前を聞き分けている
2019年に学術誌「Scientific Reports」に掲載された研究では、「慣れ」を利用した方法で、猫が名前を聞き分けているかを調べました。
方法はこうです。猫に、自分の名前と同じ長さ・同じアクセントの一般的な単語(あるいは一緒に暮らしている別の猫の名前)を4つ続けて聞かせます。猫は同じような音声を聞き続けると、だんだん反応しなくなっていきます。そのあとで、猫自身の名前を聞かせ、反応が戻るかどうかを調べました。
| 調べた猫 | 結果 |
|---|---|
| 一般家庭の猫 | 一般的な単語や同居猫の名前に慣れたあと、自分の名前を聞くと、はっきり反応が戻った |
| 一般家庭の猫(知らない人が呼んだ場合) | 呼ぶ人が飼い主でなくても、自分の名前と一般的な単語を聞き分けていた |
| 猫カフェの猫 | 自分の名前と一般的な単語は聞き分けていたが、同じ店の猫の名前とは聞き分けられていなかった |
研究チームは、猫は音の違いをもとに、人の言葉の内容を聞き分けることができると結論づけています。猫カフェの猫が同居猫の名前と区別できなかったのは、たくさんの猫が同じ場所で暮らし、お客さんがさまざまな名前を呼ぶ環境だからかもしれません。
研究2:一緒に暮らす猫の名前と顔を結びつけている
2022年に同じ学術誌に掲載された京都大学などの研究は、さらに一歩進んで、猫がほかの猫の名前を「誰のことか」とわかっているかを調べました。
実験では、飼い主が同居猫の名前を呼ぶ声を聞かせたあと、パソコンの画面にその猫の顔写真を映しました。名前と顔が一致する場合と、一致しない場合を比べたところ、一般家庭の猫は、名前と顔が一致しないときに画面をより長く見つめていました。「呼ばれた猫と違う顔が出てきた」という予想外の状況に、注意を向けたと考えられます。一方、猫カフェの猫では、このような違いは見られませんでした。
人の家族の名前と顔についても同じように調べると、家族の人数が多い家で暮らす猫ほど、名前と顔が一致しないときに画面を長く見つめる傾向がありました。この傾向は、家族と長く暮らしている猫ほど強かったと報告されています(ただし、猫の年齢の影響は否定できないとしています)。研究チームは、猫が特別な訓練を受けなくても、仲間の名前と顔を結びつけて覚えていることを示す結果だとしています。
「わかっているのに来ない」のはなぜ?
研究からわかるのは、猫が名前を「聞き分けている」ことです。名前を呼ばれて来るかどうかは、また別の問題です。2019年の論文によると、実験の猫たちが名前に示した反応は、鳴いたりしっぽを動かしたりする「やりとり」の行動ではなく、耳や頭を音のほうに向ける「注意を向ける」行動でした。名前がわかっていても、そのときの気分や状況によって、駆け寄ってこないことは十分にありえます。
名前を呼ぶときに意識したいこと
研究の直接の結論ではありませんが、名前を聞き分けているのであれば、呼ぶときの状況も覚えている可能性があります。次のような点を意識すると、名前が猫にとって心地よい合図になりやすいでしょう。
- ごはんや遊び、なでるときなど、うれしい場面で名前を呼ぶ
- 叱るときや、猫が嫌がる場面ではなるべく名前を使わない
- 家族の中で呼び方をそろえる。あだ名がいくつもあると、どれが自分の名前か伝わりにくい可能性がある
まとめ
日本の研究チームの実験から、猫は自分の名前をほかの言葉と聞き分けていること、さらに一緒に暮らす猫や家族の名前と顔を結びつけているらしいことがわかってきました。呼んでも来ないのは、名前がわからないからではなく、猫なりの理由があるのかもしれません。今日から、うれしい場面でやさしく名前を呼んでみてください。