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かき氷シロップは本当に全部同じ味?色と香りが「味」を決めてしまう仕組み

いちご、メロン、レモン、ブルーハワイ。かき氷のシロップは色も名前もさまざまですが、「実は全部同じ味」という話を聞いたことはないでしょうか。半分は本当で、半分は誤解です。多くの市販シロップは甘さと酸味のもとが共通で、違いをつくっているのは主に色と香りだと説明されています。それでも私たちが別の味として感じるのはなぜか。食べ物の色や香りが味の感じ方を変える研究を手がかりに、この不思議を整理します。
この記事のポイント
- スーパーなどで見かける一般的なかき氷シロップの多くは果汁を使わず、果糖ぶどう糖液糖などの甘味に、香料・酸味料・着色料を加えて作られている
- 味の違いをつくっているのは、多くの場合「色」と「香り」
- 食べ物の色は、味への期待を左右するもっとも重要な手がかりの一つだとする研究の総説がある
- 「味の8割は香り」といった数字はよく聞くが、その根拠ははっきりしないと指摘されている
「同じ味」と言われる理由は原材料にある
2015年のJ-CASTニュースの記事は、食品スーパーなどで見かけるかき氷シロップの多くが果汁を使っておらず、果糖ぶどう糖液糖や甘味料に、香料や酸味料、着色料などを加えて作られていると説明しています。いちごとメロンの違いをもたらしているのは、多くの場合、着色料と香料だということです。
つまり、甘さと酸っぱさの「土台」はよく似ていて、そこに赤い色といちごの香り、緑の色とメロンの香りを加えている、というイメージです。ただし、これはすべてのシロップに当てはまるわけではありません。果汁をたっぷり使ったものや、着色料を使わないものも販売されていて、そうした商品は素材ごとに味そのものが違います。気になる人は、ボトルの原材料名を見比べてみると違いがよくわかります。
舌が感じる「味」と、私たちが感じる「おいしさ」は別もの
ここで言葉を整理しておきましょう。舌が感じ取る味は、甘味・酸味・塩味・苦味・うま味といった基本的な味です。一方で、私たちがふだん「いちご味」「メロン味」と呼んでいるものには、香り、見た目、食感、温度など、いくつもの感覚が混ざっています。
同じ甘さと酸っぱさのシロップでも、香りと色が違えば、頭の中では「いちご」「メロン」と別の食べ物として認識されます。J-CASTの記事で東京大学の研究者は、食べものの「見た目」と「ニオイ」が味をどれほど左右するかがわかる例だと説明しています。
色は「味の予想」を決める
英オックスフォード大学のチャールズ・スペンス教授は、2015年の総説で、食べ物の色は、味や風味への期待を決める手がかりの中で最も重要なものだと述べています。多くの実験で、飲み物や食べ物の色合いや濃さを変えるだけで、人が予想する味、そして実際に感じる味が変わることが示されてきました。
興味深いのは、色と味が合わない場合です。総説では、色から予想した味と実際の味が食い違うと、がっかりした印象になりやすいことも指摘されています。また、色が持つ意味は年代や文化によっても違うため、同じ色がいつも同じ味を連想させるとは限りません。
「味の8割は香り」は本当か
香りの影響を説明するときに、「味の75〜95%は嗅覚から来ている」という数字がよく使われます。しかし、同じスペンス教授は別の論文で、この数字を裏づける実証的な根拠がほとんど示されていないこと、元になったとみられる研究も主張を支えていないことを指摘しています。
理由の一つは、「味」という言葉の使い方があいまいなことです。日常会話の「味」は香りを含めた風味全体を指すことが多く、科学でいう「味覚」は舌で感じるものに限られます。どこまでを「味」と呼ぶかで答えが変わるため、正確な割合を出すのは難しいということです。香りが大きく影響するのは確かですが、具体的な数字は話半分に聞いておくのがよさそうです。
家で試せる「食べ比べ」の方法
家族や友人と試すなら、次のような方法があります。
- 2〜3種類のシロップを用意し、別の人に小さな器へ取り分けてもらう
- 食べる人は目を閉じ、鼻をつまんで一口ずつ食べ、何味かを答える
- 次に鼻をつままずに同じことをして、答えが変わるかを比べる
色と香りの手がかりがなくなったときにどれだけ当てられるかで、自分がふだん何を頼りに「味」を判断しているかが見えてきます。果汁入りのシロップを混ぜると、結果の違いも比べられます。食べ過ぎて頭がキーンとしないよう、一口は少なめにしてください。
まとめ
一般的なかき氷シロップの多くは、甘さと酸味の土台が共通で、色と香りによって「いちご」や「メロン」になっています。それでも違う味に感じるのは、私たちが舌だけでなく、目と鼻を使って味を判断しているからです。全部同じだとわかっても、色と香りを楽しむことはかき氷の大事な一部。今度食べるときは、目を閉じて一口味わってみると、新しい発見があるかもしれません。