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1枚の紙から97羽の鶴:1797年の『秘伝千羽鶴折形』と、桑名に伝わる「連鶴」の世界

1枚の紙に切り込みを入れ、何羽もの鶴をつなげて折る「連鶴(れんづる)」を知っていますか。200年以上前の本に記録され、いまも三重県桑名市で受け継がれている折り紙の技です。折り紙は海外でも人気で、折り紙の手裏剣の折り方を紹介する英語の動画は8,500万回以上再生されています(2026年10月時点)。英語の辞書にも「origami」という言葉が載り、ケンブリッジ英語辞典は例文で「折り紙は日本から来たもので、日本では今も広く親しまれている」と紹介しています。政府の広報資料をもとに、連鶴の歴史と魅力を紹介します。
この記事のポイント
- 連鶴は、1枚の紙に切り込みを入れ、複数の鶴がつながった形に折り上げる折り鶴。昔はこれも「千羽鶴」と呼ばれていた
- 1797年に京都の版元から刊行された『秘伝千羽鶴折形(ひでんせんばづるおりかた)』は、現存する連鶴に関する最古の出版物とされる
- 考案者は、桑名市の長圓寺(ちょうえんじ)の僧侶、魯縞庵義道(ろこうあんぎどう、1762〜1834年)
- 桑名市は1976年、この本に載る49種類の連鶴を「桑名の千羽鶴」として市の無形文化財に指定した
「千羽鶴」はもともと別のものだった
いま「千羽鶴」と聞くと、たくさんの折り鶴を糸でつないだものを思い浮かべる人が多いでしょう。「鶴は千年、亀は万年」ということわざのように、鶴は長寿で縁起のよい鳥とされ、健康や平和を願って千羽鶴を贈る習慣があります。
一方、政府広報の資料によると、1枚の紙に切り込みを入れて複数の鶴が連なるように折る「連鶴」も、古くは「千羽鶴」と呼ばれていました。数の多さを表す言葉として、同じ名前が使われていたということです。
1797年の本『秘伝千羽鶴折形』
連鶴の歴史を伝えるのが、1797年に京都の版元から刊行された『秘伝千羽鶴折形』です。この本には、さまざまな連鶴の簡単な折り方の図と完成形の絵が載っていて、それぞれに趣のある題名と、こっけいな和歌である狂歌が添えられています。
後年の調査で、この本が現存する連鶴に関する最古の出版物であること、そして考案者が三重県桑名市にある長圓寺の僧侶、魯縞庵義道であることがわかりました。これを受けて、桑名市は1976年に、本に載っている49種類の連鶴を「桑名の千羽鶴」として市の無形文化財に指定しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 本の名前 | 秘伝千羽鶴折形(ひでんせんばづるおりかた) |
| 刊行 | 1797年、京都の版元 |
| 考案者 | 魯縞庵義道(桑名・長圓寺の僧侶、1762〜1834年) |
| 内容 | 連鶴の折り図と完成図。それぞれに題名と狂歌 |
| 文化財 | 1976年、49種類が桑名市の無形文化財「桑名の千羽鶴」に |
2羽から97羽まで
桑名市博物館の歴史専門官の話として、政府広報の資料は「『桑名の千羽鶴』は、一枚の紙から2羽から最高97羽つながるように折る連鶴が記載されています」と紹介しています。97羽がつながる作品は「百鶴」、8羽の鶴を丸く連ねた作品は「八橋(やつはし)」と名付けられています。
すべて1枚の紙からできているため、切り込みの入れ方と折る順番を少しでも間違えると、鶴同士がうまくつながりません。数学的なパズルのような緻密さと、着物の柄のような華やかさをあわせ持つのが連鶴の魅力です。
失われかけた技を読み解く
実は、無形文化財に指定された当時、連鶴を実際に折ったことがある人は少なかったといいます。『秘伝千羽鶴折形』には詳しい折り方の説明がなく、折り図の一部にはあいまいなところもありました。
これを一つひとつ読み解き、誰でも折れるようにしたのが、桑名市博物館の歴史専門官です。現在は2人が市から「桑名の千羽鶴」の技術保持者として認定を受け、市内の小中学校での折り方指導や、博物館の公開講座などを通じて伝承に取り組んでいます。
2016年には、G7伊勢志摩サミットに関連して桑名市で開かれた「ジュニア・サミットin三重」で、参加した7か国の子どもたちに、連鶴の一つ「布晒(ぬのざらし)」が贈られました。
連鶴を楽しむには
- まずは1枚の紙から2羽がつながる、いちばん簡単な形から試す
- 切り込みは小さめに入れ、鶴同士をつなぐ部分を残すことを意識する
- 桑名市博物館などで開かれる講座や展示の情報を、自治体や博物館の公式サイトで確認する
まとめ
連鶴は、1枚の紙から何羽もの鶴を折り出す、日本で生まれた折り紙の技です。1797年の『秘伝千羽鶴折形』に記録され、一度は折れる人が少なくなりながらも、桑名の人々によっていまに受け継がれています。世界中で親しまれる「ORIGAMI」の奥深さを感じたら、2羽の連鶴から挑戦してみてはいかがでしょうか。